伊勢湾台風
今年で50年になるという伊勢湾台風。
私の父の葬儀の日が伊勢湾台風の当日だった。
前の晩からにわか雨が強く降り舗装してない歩道に砂利を入れ
て凌いだ。台風が近づいているなんて全く知らなかった。
葬儀の後猛烈な風雨に襲われ必死で畳でガラスを押さえた。
ガラスがしなるのを始めて経験した。
夜中押さえ続けた。あの恐怖は一生忘れない。
今でも台風と聞くと当時の事をまざまざと思い出される。
風雨が治まって外へ出ると南側の2階屋がばったりと倒れていて、
ウチの木の塀に何かが飛んできたのか大きな穴が開いていた。
その後は悲惨な状況が展開し自衛隊のトラックに乗って南区の
救援活動をした。
南区役所の庭にベニアヤ製の棺桶が並べれていた。
棺桶に入れられたのはまだ良い方で港区や西区では土手で死体
を焼いたという。
不幸中の幸いとはまさにこう言う事で一日違っていたら葬式どころ
ではなかった。
あの台風で多くの人が亡くなり生き残った人の人生に大きな影響
を与えたろうが私のとっても父の死は人生の転機になった。
その時私は18歳。
浪人はダメだという父の言葉に気の進まない大学に籍を置きそこ
に通っている振りをして受験勉強をしていたがいざこう言う身にな
ると母一人で4人の子供を育てるのは大変だった。
まず大学を出て何でも良いから就職してお金を稼いでから自分の
ことを考えよう、と思った。
あれから50年。
自分の描いた人生と全く違う人生を過ごしたがこれで良しとしなけ
れば報われない。
伊勢湾台風とウチとの関係は父の葬儀の日という事だけだがなぜ
か胸に迫る思いがする。
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