父の思い出
私の父は広島で原爆にあっていた。
丈夫な建物の中に居たので死なずに済んだがその後遺症と
思われるガンで51歳の若さで亡くなった。
その葬儀が伊勢湾台風の日だった訳。
父の歳を越えた時は複雑な気分だった。
かって広島へ修学旅行を引率して言った時被爆者の体験談を
聞く、というメニューがあった。
その時の講師に「実はウチの父も被爆者です」と言うと全く興味
を示さず、自分の持ちネタを話すと講演料を貰うと早々に帰って
行った。その態度に唖然とした。
「ああ、これを生業にしている人なんだ」と思った。
原爆を食い物にしている人、という気持ちで不快だった。
このメニューは翌年から削った。
父との思い出は殆ど無い。
小学校2年生の時家族6人で名古屋の大須のCNCという映画館へ
行った。トムとジェリーがハンガリー狂詩曲に乗っておっかけっこを
する漫画だった。楽しかった。
それが唯一の思い出。
後はやせ細ってゆく父に何時までも心臓に注射を打ち続ける医者
の姿。もういいからやめてくれ、と言った事を覚えている。
お通夜の晩、なぜか涙が出て泣けて泣けて仕方が無かった。
何故だろうと今でも思う。
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